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2013年10月04日

母乳のススメ(5)

<母乳はおいくら???>

前回まで、母乳が赤ちゃんにとってどのように良いのかという話をしてきました。
せっかく身体が自分が産んだ赤ちゃんに適した食事を作ってくれているのですから、
それを使わない手はありません。

ですが、最初の回でお話した通り、清潔な水や品質の良いミルクが手に入りやすい日本では、
母乳ではなくミルクで育てるデメリットは小さいかもしれません。
ただ、目に見えて違うのは、母乳は経済的であること&手間が少なくて済むこと、
そして濃厚なスキンシップが頻回ににとりやすいという事かと思います。

母乳が経済的である、というのは、順調に出ていれば特に費用がかからないからです。
(お母さんがしっかり食べる、その食事代はかかるかもしれません…。)
それに対してミルクの場合、1日7回、1回80mlずつ飲むとして約11日で800g の粉ミルク1缶がなくなる計算になります。
つまり、1か月に約3缶使い切りますので、1缶3,000円として最初の1か月で9000円ミルク代としてかかります。
(キューブタイプだと3-4箱ですので、6000円弱~8000円弱ですね)

80mlというのは始めの1か月くらいの量なので、もっとたくさん飲むようになったらその分ミルク代が増えていきます…。
他にも消毒薬・哺乳瓶等の哺乳グッズが必要になりますね。

実は、ミルク缶の代金だけでなく、母乳にしか含まれない成分や免疫物質についても市販されている価格で計算してみた、という論文があります。
どの成分まで計算にいれるかによって異なりますが、その論文によると、
粉ミルクの他に母乳中に含まれている量の成分や免疫物質を購入したとすると、
6か月で最低限の計算でも13万6千円、
考え得る限りの物質で計算すると約123万円にもなると言います。

実際には、赤ちゃんに市販されている免疫物質を飲ませるわけではありませんから、
この費用はあくまでも参考にする程度のものです。
ただ、買うとすごく高いもの…と思うと、モッタイナイ精神で生活している私は、
是非飲ませておきたい気がします。

手間が少なくていい、という1つ目のポイントはこのミルク前後の作業です。
哺乳瓶を使う場合には、使用後毎回瓶を洗った後に消毒する作業が必要になります。
その上で、粉ミルクは70℃以上のお湯で溶かした後に、
40℃くらいまで覚ましてあげることになります。

「あ、泣いてる」と思ってからミルクを作り始めると焦ってしまうこともしばしば…
その点、母乳はすぐにあげることができるのが利点です。
他の家族がミルクを作ってあげてくれる場合はそれでも良いのですが、
日中は赤ちゃんと二人になるな、というような人は母乳だと準備・消毒がだいぶ楽になります。

二つ目の手間が少なくていいポイントは、外出の際の荷物の少なさです。
ミルクの場合、哺乳瓶・魔法瓶にいれたお湯、粉ミルクがそれぞれ必要になります。
この「お湯」がなかなかネックになります。
それに対して母乳の場合、授乳しやすい服を着ていくだけで済みます。
最近は、授乳用ケープを持ち歩く人も多いので、
おむつも含めやはりお母さんたちの荷物は大きくはなりますが…。
その反面、授乳ケープ等を使っても外で飲ませるには抵抗がある、
という人は荷物が増えてでも粉ミルクの方が外であげやすいと感じるようです。

どちらにしても赤ちゃんと一緒にいるお母さんが「できるだけ楽」であることは重要です。
授乳は赤ちゃんが生まれてから1年以上休まず続けていくことですから、
少しでもストレス少なく続けられる方法がとれると良いですね。
  


Posted by Bigマミー♪ at 22:56Comments(0)母乳

2013年09月09日

母乳のススメ(4)

<母乳育児と肥満>

母乳が栄養とか免疫に良いって言ってもせいぜい生まれて1年か2年くらいの話じゃない?
と思われる方もいると思います。

でも、実は最近「母乳で育った赤ちゃんの方が、将来肥満になりにくい」と言われています。
もちろん、肥満は食べ過ぎや運動不足とも関連しているものですから、
母乳ならば肥満にならないというわけではありません。

ただ、母乳と将来の肥満について調べた研究を集めてみた結果、
母乳で育てられた赤ちゃんは、ミルクで育った子と比べて将来肥満になる確率が13%位低い、
と言われています。
(“将来”というのは、幼児期~大人になるまで、研究によって様々ですが、
大人になってからの肥満を減らす効果もあるようです)

その理由としては、母乳に含まれる食欲を抑制するホルモン(アディポネクチンやレプチン)の影響や、
ビン哺乳よりも直接母乳を飲む方が赤ちゃん自身で満腹感に気づきやすいく飲む量の調節ができる、
といった理由が挙げられています。

ミルクで育つと肥満になりやすいということ?
ミルクと母乳の混合の場合は?
どれくらいから肥満のリスクが高くなるの?
こういったことについては、詳しくはわかってはいないため、今まさに研究中です。

しかしミルクと母乳の違いとして、前述した飲む量を調節できるかどうかが重要なポイントとされていて、
「DOHaD説(Developmental Origins of Health and Disease)」という説が注目されています。
DOHaD説とは、「胎児期~幼小児期の環境が、成人期の慢性疾患リスクに影響を与える」という考え方で、以前は胎児成人病説とも呼ばれていました。

もともとは、おなかの中で小さかった子は、たくさん栄養吸収ができる状態で生まれてくるため、
栄養を吸収しすぎてしまい、それが将来の成人病につながるというもので
「小さく生んで大きく育てると、将来赤ちゃんが生活習慣病になりやすいかもしれない」
という考え方です。

つまり、おなかの中に居る時にもらっていた栄養よりも多すぎる栄養を
出生直後からもらっていた赤ちゃんは、
勢いよく大きくなる分、肥満や生活習慣病等になりやすいかもしれないと考えられています。
そのため無理に「大きく育てよう!」とたくさんあげるのではなく、
その子にちょうど良い量を飲ませてあげる方が良いと言われています。

ミルクか母乳かという話でもビン哺乳の方が飲みすぎてしまいやすいため、
肥満のリスクが高くなるのではないかと考えられています。

つまり、母乳中の成分等も関係していますが、
何よりも母乳を直接あげた方が「飲みすぎ」になりにくく、
それが将来の肥満と関係しているかもしれない、ということのようです。

最終的には、肥満は本人の食生活によるところが大きいのは当然ですが、
母乳でもミルクでも「本人にちょうど良い量」に気を付けて、食育の第一歩にしてあげたいですね。


<参考文献>
Pediatrics. 2005 ;115(5):1367-77. Effect of infant feeding on the risk of obesity across the life course: a quantitative review of published evidence. Owen CG, Martin RM, Whincup PH, Smith GD, Cook DG.

日本DOHaD研究会 http://japan-dohad.kenkyuukai.jp/about/

Proc Biol Sci. 2005 ;272(1564):671-7. Environmental influences during development and their later consequences for health and disease: implications for the interpretation of empirical studies. Gluckman PD, Hanson MA, Spencer HG, Bateson P.

周産期医学Vol42増刊号 P169, P193-194

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Posted by Bigマミー♪ at 00:40Comments(0)母乳

2013年09月09日

母乳のススメ(3)

<母乳の免疫>

 母乳がオーダーメイド栄養源であるという話に続き、
次は『オーダーメイドの感染対策まで担っている』
というお話をしたいと思います。

母乳には免疫が多く含まれている…という話は聞いたことがあると思います。
もちろん、妊娠中お母さんのおなかの中に居た時にもらった免疫もたくさんありますが、
特に母乳を通して「腸管内」の免疫がうまく働くようになります。

腸?と不思議な幹事がするかもしれませんね。
母乳を赤ちゃんが飲むと、お口から食道を通って、胃を通って…そう、腸を通るのです!
胃や腸といった消化管は、いろいろな食べ物を始め体の外のモノが通る部分ですから、
細菌なども入りやすい部分となります。

そのため、細菌が入る前から免疫がしっかり働いていることが重要になります。
腸管内で作用するIgAを始め多くの免疫が母乳には含まれています。

さらに、人の体で働いている多くの免疫成分の内、一部の免疫は栄養と同様、
赤ちゃんの状態によってオーダーメイドの免疫として働きます。

例えば「マクロファージ」という大腸菌や黄色ブドウ球菌を食べてしまい殺菌してくれる免疫があります。
早産で生まれた子の母乳中マクロファージは、予定日に近い子のマクロファージよりも貪食能、
つまり殺菌能力が高くなるのです!

また、お母さんが風邪をひいたとき等は
母乳から、まさにその時お母さんが作りつつある抗体をあげることができます。
(母乳をあげることやお薬については担当のお医者さんと相談してください。
お薬についての情報はこちらも役に立ちます→ママのためのお薬情報

もちろん、日本では発展途上国等比べ、安全な水が手に入りやすいこともあり
感染症の危険はそこまで高くはありません。

それでも、ロタウイルスによる胃腸炎や、中耳炎、気道炎といった
日常的な感染症に罹る子は今も多く、
母乳を飲んでいることでそんな感染症から赤ちゃんを守ることにつながると言われています。

母乳は、体を作る栄養だけではなく、体を守る免疫までオーダーメイドで作ってしまうのです。



<参考文献>
周産期医学42巻増刊号 2012年 P134-135 木下洋

Duijts L, Jaddoe VW, Hofman A, Moll HA. ”Prolonged and exclusive breastfeeding reduces the risk of infectious diseases in infancy.” Pediatrics. 2010;126(1):e18-25

Duncan B, Ey J, Holberg CJ, Wright AL, Martinez FD, Taussig LM. “Exclusive breast-feeding for at least 4 months protects against otitis media.” Pediatrics. 1993; 91(5):867-72.

Newburg DS, Peterson JA, Ruiz-Palacios GM,et al. Role of human-milk lactadherin in protection against symptomatic rotavirus infection. Lancet. 1998;351(9110):1160-4.

                                 =顔01by kaori顔01=  


Posted by Bigマミー♪ at 00:29Comments(0)母乳